「以前に神経を抜く治療を受けた前歯が変色してきた。なんとかならないか」

このようなお悩みを伺うことがあります。
その場合、ウォーキングブリーチという方法が有効かもしれません。

ウォーキングブリーチとは

歯の内部に漂白剤を入れて、変色した歯を白くする治療法です。
インターナルブリーチともいわれます。

この方法は1960年代に確立されたと言われている、比較的歴史のある方法です。
「歯内療法学」という分野の教科書にはほぼ記載されています。
私が学生時代に使っていた教科書にも記載されていました。

神経がなくなるという結果にいたるまでには、深いむし歯、もしくは外傷(歯のケガ)が原因となっていることがほとんどです。
このような歯の変色は、歯の内部構造である象牙質の変色が要因となっています。

むし歯菌によって産生された黒色や茶色の色素、血液(赤血球)に由来する酸化鉄(錆びた鉄)などが変色の正体と考えられます。
そのため、いわゆる通常のホワイトニング(歯の外側から漂白する方法)では効果がありません。

ウォーキングブリーチの対象になる歯

ウォーキングブリーチの対象になる歯は、神経がなくなっている歯です。専門用語では失活歯や無髄歯といいます。
そしてもともとの歯が多く残っていることが条件になります。
歯のほとんどが人工物(樹脂など)になっている場合は、ウォーキングブリーチができないことがあります。

ウォーキングブリーチの進め方

神経を抜くという処置を行う場合、通常は歯の裏側から削って穴をあけます。
この穴を通して治療器具を歯の内部に入れていくためです。
ウォーキングブリーチでは、以前の治療ですでにあけてあるこのスペースを使って漂白剤を入れていきます。

漂白剤を入れたところはしっかりとフタをして、一週間から10日ほどの間隔をあけて再度ご来院いただきます。
ウォーキングということは直訳すると歩きながら、つまり普段の生活を送りながら徐々に変色が解消されていくということを意味しています。

お望みの白さになるまで薬剤の交換を繰り返していきます。
通常は3回〜5回程度、期間にして一ヶ月から一ヶ月半程度が目安です。

愛歯科医院ならではのこだわり

愛歯科医院ではウォーキングブリーチの際にも、マイクロスコープを活用しながら処置を進めます。
ウォーキングブリーチの際には漂白剤が漏れ出ないようにフタをしますが、通常はセメントが使われます。
愛歯科医院ではこのフタにも接着性レジンを使い、しっかりと封鎖するように心がけています。

ウォーキングブリーチのメリットとデメリット

メリット

できるだけご自身の歯を残しながら処置ができます
セラミック治療などに比べると経済的負担が少ない方法です

デメリット

色合いの厳密なコントロールはできません
歯の強度を高めることができません

ウォーキングブリーチの実例

ウォーキングブリーチの費用

・初回着手時 22,000円(税込)
・薬剤交換時  5,500円(税込)
・完了時 5,500円(税込)

*事前に行われる検査、むし歯治療、歯石取りなどの費用は含まれません

よくあるご質問

ウォーキングブリーチをした後で、やっぱりセラミック治療をしたくなったとしたら、ウォーキングブリーチは無駄になりますか?

セラミック治療では「下地」、すなわちもとの歯の状態が仕上がりに影響を及ぼします。そのため、セラミック治療を行う前の下地作りとしてウォーキングブリーチを行うことがあります。
ウォーキングブリーチの後で他の方法をとることになったとしても、無駄になることはありません。

ウォーキングブリーチで歯が弱くなることはありますか?

ウォーキングブリーチそのもので歯が弱くなることはないと考えています。
ウォーキングブリーチを行う歯は、すでに神経のない歯(無髄歯/失活歯)ですので、神経が生きている歯(有髄歯/生活歯)よりも強度は低くなります。
ウォーキングブリーチを実施するかどうかという要因よりも、有髄歯/生活歯かそうでないかの方が、歯の強さに与える要因として大きいと考えています。

ウォーキングブリーチで対応できない変色の種類はありますか?

金属イオンの定着による変色には対応できません。
銀合金で作られたメタルコア(土台)が長年にわたって装着されていた場合やアマルガム合金が入っていた場合など、金属が原因である変色のときはウォーキングブリーチでは対応ができません。

ウォーキングブリーチ以外の方法は?

  • ラミネートベニア
  • ダイレクトボンディング
  • セラミッククラウン

ウォーキングブリーチで対応することが難しい場合は、上記のような方法をとることになります。
具体的には実際にお口の中を拝見し、その上で相談に乗ります。

京都市中京区 四条烏丸の顕微鏡歯科 愛歯科医院 院長 金明善

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