抜歯即時埋入・即時修復による前歯の再建(60代女性)
前歯の違和感から始まったインプラント治療(60代女性)
以前から当院に通院されていた60代女性の患者さん。ある日、「前歯に違和感がある」とのことでご相談を受けました。

診察してみると、左上の前歯(#22番)の根が割れていることが判明。この歯は残すことができない状態でした。

しかし、前歯はお顔の印象に大きく関わる部分です。抜歯後に歯がない状態が続くことは、患者さんにとって大きな負担になります。
抜いたその日にインプラントと仮歯を装着
周囲の歯はすでにセラミックの被せ物(クラウン)で治療済みでした。ブリッジ治療を選ぶと、周囲の健康なクラウンを壊して作り直す必要がありました。
そこで今回は、抜歯と同時にインプラントを埋める「抜歯即時埋入」と、その場で仮歯まで装着する「即時修復」を組み合わせた治療をご提案。患者さんにもご納得いただき、治療をスタートしました。
治療のステップ
ステップ1:精密検査と治療計画

CTスキャンと光学印象(口腔内スキャン)を行い、デジタル上で三次元のモデルを作成。インプラントをどこに、どの角度で埋め込むかをシミュレーションしたうえで、サージカルガイド(正確に埋入するためのガイド)を作製しました。
ステップ2:インプラント手術と仮歯の装着

局所麻酔を行い、割れていた歯を抜歯。サージカルガイドを使用して、計画通りの位置にインプラントを埋め込みました。
術後すぐに仮歯を装着。この仮歯は通常、隣の歯に接着する形式ですが、今回は両隣がセラミッククラウンのため接着できず、インプラント本体に直接接続するタイプの仮歯を採用しました。


ステップ3:経過観察と調整

術後1週間の経過観察では、痛みや腫れもなく、仮歯も安定していました。
その後、インプラントが骨としっかり結合するまでの期間(2ヶ月以上)を確保しながら、仮歯の形を微調整していきました。
ステップ4:最終のセラミック装着

インプラントと骨の結合が安定した後、再度口腔内スキャンを行い、最終的なセラミックの被せ物を製作・装着。見た目も自然で、周囲の歯との調和も良好な仕上がりになりました。
治療のまとめ
今回の治療では、
- 抜歯からインプラント手術までの待機期間
- 手術後から仮歯装着までの空白期間
この2つの「歯がない時間」をゼロにすることができました。
患者さんは、見た目を気にすることなく、日常生活に戻ることができ、大変満足されたご様子でした。
その後の経過
治療から約1年が経過しましたが、現在もX線写真に異常はなく、症状もありません。患者さんは快適に生活されており、今後も定期的にチェックを続けていく予定です。
治療にかかった費用と期間
- 費用:約55万円(消費税別、当時の金額)
- 通院回数:8回
- 治療期間:約6ヶ月
インプラント治療のリスク・副作用について
インプラント治療には、以下のようなリスクや副作用があることもご理解ください。
- 外科手術に伴う痛み・腫れ・出血などが起こることがあります
- インプラントと骨がうまく結合しない可能性があります
- メンテナンスを怠ると、インプラント周囲炎などのトラブルが生じることがあります
- 全身疾患のある方、喫煙習慣のある方は成功率が下がる場合があります
当院では、事前にしっかりとご説明し、適切な診査・診断のうえで治療をご提案しております。