- 1. 奥歯の部分矯正について
- 2. 奥歯の部分矯正の目的
- 2.1. 補綴前処置として
- 2.2. 萌出障害の治療として
- 2.3. 歯周病治療の一環として
- 3. 奥歯の部分矯正にはどのようなものがあるか
- 3.1. 挺出(エクストルージョン,extrusion)
- 3.2. 圧下(イントルージョン,intrusion)
- 3.3. 整直(アップライト,upright)
- 3.4. 鋏状咬合(Scissors bite)の解消
- 4. 奥歯の部分矯正で使われる装置
- 5. 奥歯の部分矯正で考えておくべきリスク
- 5.1. むし歯・歯周病のリスク
- 5.2. 装置が破損・脱落するリスク
- 5.3. 歯根破折(VRF)のリスク
- 6. 奥歯の部分矯正の費用について
- 7. 治療例のご紹介
- 8. 奥歯の部分矯正でよくある質問
奥歯の部分矯正について

「全体的な矯正までは考えていないけれど、奥歯だけ何とかしたい」——そのようなご希望にお応えするのが、奥歯の部分矯正です。限局矯正(LOT:Limited Orthodontic Treatment)とも呼ばれます。
前歯の部分矯正が見た目の改善を目的とすることが多いのに対し、奥歯の部分矯正は「歯を残す」「治療の土台を整える」といった機能的な目的で行われます。
奥歯の部分矯正の目的
補綴前処置として
補綴(ほてつ)とは、かぶせ物やブリッジ、入れ歯など、失った歯を人工物で補う治療のことです。
奥歯が傾いていると、そのままではかぶせ物がうまく入らないことがあります。このような場合、まず部分矯正で歯の傾きを修正してから補綴治療に進みます。これを補綴前処置(ほてつぜんしょち)と言います。
萌出障害の治療として

永久歯が生えてくる際、隣の歯に引っかかってまっすぐ生えてこないことがあります。これを萌出障害(ほうしゅつしょうがい)と言います。
引っかかったまま放置すると、その部分にむし歯ができやすくなります。一度むし歯になると進行が早く、治療も難しくなるため、部分矯正で早めに角度を修正することが大切です。
歯周病治療の一環として
歯を失った後、空いたスペースに向かって隣の歯が傾いてくることがあります。
傾いた歯の周りは歯ブラシが届きにくく、歯周病が悪化しやすくなります。部分矯正で傾きを戻すことで、セルフケアしやすい環境を整え、残っている歯を守ることができます。
奥歯の部分矯正にはどのようなものがあるか
挺出(エクストルージョン,extrusion)

挺出(エクストルージョン)とは、歯根を歯ぐきの上に引き上げる処置です。
深いむし歯で歯の頭(歯冠)がほとんどなくなり、歯根だけになってしまった歯でも、この方法で歯ぐきの上に引き上げることで、かぶせ物(クラウン)を装着できる状態にできます。「抜歯」と言われた歯を残せる可能性がある治療法です。
当院では、装置の装着や調整の際に歯科用顕微鏡を用いて精密に処置を行っています。
圧下(イントルージョン,intrusion)

圧下(イントルージョン)とは、伸びてしまった歯を押し下げる処置です。
対合する歯を失った後、噛み合う相手がいなくなった歯は徐々に伸びてきます。そのままでは補綴治療の障害になるため、本来の位置まで押し戻す必要があります。かつては難しいとされていましたが、矯正用ミニインプラント(TAD)を固定源として使うことで、安定した圧下が可能になりました。
整直(アップライト,upright)

整直(アップライト)とは、傾いた歯を起こして角度を修正する処置です。
噛む力の方向と歯の軸がそろっていると、歯は力を効率よく受け止められます。傾いたままだと力の負担が偏り、歯が弱りやすくなります。また、傾いた歯の周囲は歯ブラシが届きにくく、むし歯や歯周病のリスクも高まります。
鋏状咬合(Scissors bite)の解消
鋏状咬合(シザーズバイト)とは、上下の奥歯がすれ違って噛み合わない状態です。上の歯が外側に、下の歯が内側に傾くことで、ハサミのようにすれ違ってしまいます。
食べ物が噛みにくいだけでなく、歯ブラシが届きにくいためむし歯や歯周病のリスクも高くなります。ボタンとゴム、または3Dリンガルアーチを使って歯の傾きを修正します。
奥歯の部分矯正で使われる装置
奥歯の部分矯正では、以下のような装置を組み合わせて使用します。
- ワイヤー、ブラケット、チューブ
- エラスティック、コイルスプリング
- 3Dセクショナルモジュール
- インプラントアンカー(矯正用ミニインプラント,TADともいう)
どの装置を使うかは、歯の状態や治療目的に応じて個別に設計します。
奥歯の部分矯正で考えておくべきリスク
むし歯・歯周病のリスク
矯正装置を装着すると、歯の周りが複雑な形状になり、食べ物が詰まりやすくなります。
むし歯や歯周病のリスクが高まるため、普段以上に丁寧なブラッシングが必要です。当院では治療中のセルフケア方法についてもご説明しています。
装置が破損・脱落するリスク
矯正装置は治療終了後に外すことを前提としているため、強い力がかかると外れたり壊れたりすることがあります。
装置が外れた場合は早めにご連絡ください。そのまま放置すると治療期間が延びる原因になります。
歯根破折(VRF)のリスク
挺出(エクストルージョン)を行う歯は、多くの場合「神経を取った歯(失活歯)」です。失活歯は生きている歯に比べてもろく、歯根が割れてしまう「歯根破折」のリスクがあります。
歯根破折が起きた場合は抜歯せざるを得ません。歯ぎしりの強い方など、部分矯正が適さないケースもありますので、事前の診査で慎重に判断します。
奥歯の部分矯正の費用について
診察費について
費用は治療内容によって異なりますので、診査後に個別にご案内します。基準額については費用ページをご覧ください。
治療例のご紹介
当院で行った奥歯の部分矯正の症例をご紹介しています。
倒れた奥歯を部分矯正で起こし、むし歯を精密治療した症例|30代男性
隣の歯が傾いて覆いかぶさり、そのままでは治療できなかった奥歯のむし歯。部分矯正で傾いた歯を起こし、マイクロスコープで精密にむし歯を除去、セラミックで修復した30代男性の治療例をご紹介します。
奥歯の部分矯正でよくある質問
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奥歯の部分矯正は痛みますか?
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歯を動かす力がかかる時に痛みが出る可能性はありますが、通常は違和感程度で強い痛みを感じることはありません。
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奥歯の部分矯正にかかる期間はどれくらいですか?
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通常、一ヶ月から三ヶ月程度です。
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奥歯の部分矯正には健康保険が使えますか?
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健康保険は使えません。部分矯正が終わった後の補綴(ほてつ:セラミックのかぶせもの等)にも健康保険は使えません。
京都市中京区 愛歯科医院 院長 金明善
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