2025年6月28–29日、愛知学院大学末盛キャンパスで開催された日本口臭学会第16回学術大会に参加してまいりました。京都から新幹線で約30分。愛知学院大学末盛キャンパスの歯学部臨床教育研究棟は、新しく快適な会場でした。
今回のテーマは「口臭症の社会学」。近年の無臭志向の高まりで「におい」への社会的許容度が下がり、口臭に悩む人が生きづらさを感じやすくなっています。こうした背景から、口臭の専門家だけでなく心理学・環境科学・社会学など多彩な研究者が招かれ、においを多角的に捉える場となりました。
プログラムの内容は以下の通りです。
プログラム | タイトル | 講師・企画 |
---|---|---|
特別講演 | ヒトが気にするニオイがヒトの行動に及ぼす影響 | 坂井信之(東北大) |
教育講演1 | AIが変える心理臨床のかたち:テクノロジーによる新しい支援手法の展望と課題 | 山本哲也(徳島大) |
教育講演2 | 皮膚ガス分析の視点から化学物質と環境を考える | 関根嘉香(東海大) |
シンポジウム1 | においと社会 | 臭いマネジメントとメンタルヘルス/ピアサポート/生活環境と消臭対策 |
シンポジウム2 | 新しい口臭治療ガイドラインの展望 | 治療指針改定の現状/心理・精神的アプローチ/漢方薬による治療 |
学会理事としての務めを果たしつつも、参加者の一人として最も興味を引かれたのは山本哲也先生の教育講演でした。
今後、生活や医療の中にAIはどんどんと利用されるようになってくるでしょう。
私自身は土曜日13時30分開始の一般演題1セッションで座長を務め、冒頭2題の発表をコーディネートしました。発表内容はここでは割愛しますが、演者と聴講者双方の視点をつなぎながら議論を深める難しさとやりがいを改めて実感しました。
来年の第17回大会は新横浜で開催予定です。無臭社会をめぐる課題がさらに複雑化するなか、議論の最前線を追い続け、診療現場での支援に活かしていきたいと考えています。
京都市中京区 四条烏丸 愛歯科医院 院長 金明善