コラム

2025.02.19

妊娠と歯科治療

妊娠中はお母さんの体だけでなく、お口の中にもさまざまな変化が起こります。歯科治療を受けることに不安を感じる方も多いかもしれませんが、適切なケアを行うことで、お母さんと赤ちゃんの健康を守ることができます。本記事では、日本産科婦人科学会や日本歯科医師会などの見解を基に、妊娠中の歯科治療について解説します。

妊娠中に歯科治療は受けても大丈夫?

はい、妊娠中でも多くの歯科治療を受けることが可能です。 ただし、妊娠の時期によって治療の適応が異なるため、適切なタイミングを知ることが大切です。

日本産科婦人科学会の「産婦人科診療ガイドライン―産科編2008」によると、妊娠中の歯科治療は安全であり、特に妊娠中期(4〜7ヶ月)が最も適しているとされています(日本産科婦人科学会, 2008)。

妊娠の時期ごとの歯科治療のポイント

妊娠初期(0〜3ヶ月)

– 胎児の重要な器官が形成される時期のため、緊急性の低い治療は避けたほうが良い。
– 強い吐き気を感じることが多く、歯科治療を受けるのが難しい場合もある。

妊娠中期(4〜7ヶ月)

– 体調が安定しやすく、歯科治療を受けるのに最も適した時期。
– 必要な治療(虫歯治療、歯石除去など)はこの時期に行うのが理想。

妊娠後期(8〜10ヶ月)

– お腹が大きくなり、長時間の診療が負担になることがある。
– 出産が近いため、緊急性のない治療は産後に延期することが推奨される。

妊娠中に起こりやすいお口のトラブル

妊娠中はホルモンバランスの変化や生活習慣の影響で、以下のような口腔トラブルが起こりやすくなります。

1. 妊娠性歯肉炎

– 妊娠中はホルモンの影響で歯ぐきが腫れやすくなり、出血しやすくなります。
– 厚生労働省の資料によると、妊婦の約半数が歯肉炎を経験するとされています(厚生労働省, 2020)。

2. 虫歯の悪化

– つわりで歯みがきが難しくなったり、食事の回数が増えることで虫歯のリスクが上がります。
– 日本歯科医師会では、妊娠中の虫歯予防のためにフッ素入り歯みがき粉の使用を推奨しています(日本歯科医師会, 2022)。

3. 妊娠性エプーリス(歯ぐきの腫れ)

– 妊娠中に歯ぐきにコブのような腫れができることがありますが、多くの場合、出産後に自然に小さくなります。
– 痛みや出血がひどい場合は歯科医師に相談しましょう。

妊娠中の歯科治療で気をつけること

1. レントゲン撮影

– 日本放射線技術学会によると、通常の歯科レントゲンは低被ばくであり、防護エプロンを使用すれば赤ちゃんへの影響はほぼありません(日本放射線技術学会, 2019)。

2. 麻酔の使用

– 局所麻酔は基本的に安全ですが、必要最小限の量を使用します。
– 歯科医師に妊娠中であることを伝えれば、赤ちゃんへの影響を考慮した治療を受けられます。

3. お薬の処方

– 妊娠中に使用できる抗生物質や鎮痛剤は限られているため、自己判断で市販薬を使用せず、必ず歯科医に相談しましょう。

妊娠中の歯のケアポイント

お口の健康を保つことで、妊娠中の歯科トラブルを防ぐことができます。

1. 正しい歯みがき習慣

– つわりがひどい場合は、無理せず「フッ素入りのうがい薬」や「ヘッドの小さい歯ブラシ」を活用しましょう。
– 寝る前の歯みがきは特に重要です。

2. 食生活の工夫

– 甘いものや間食の回数を減らすことで、虫歯のリスクを低下させます。
– カルシウムを含む食品(乳製品、小魚、豆類)を積極的に摂取し、赤ちゃんの歯の成長をサポートしましょう。

3. 定期的な歯科検診

– 妊娠中期の安定した時期に歯科検診を受けるのがおすすめです。
– 口腔内のクリーニングを受けることで、妊娠中の歯ぐきの炎症を予防できます。

まとめ

妊娠中の歯科治療は、安全に受けることが可能です。お口の健康を守ることは、お母さんだけでなく赤ちゃんの健康にもつながります。妊娠中の体調に合わせて適切な時期に歯科検診を受け、無理のない範囲でお口のケアを続けましょう。

「妊娠していても歯医者に行っていいの?」と迷ったら、まずはかかりつけの歯科医院に相談してみてください。

京都市中京区 四条烏丸 愛歯科医院 金明善

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