留学中に大きなむし歯ができてしまった
【治療例紹介】歯髄温存療法で歯の神経を守る ~大きなむし歯でも抜髄を回避~
20代・男性/治療部位:#46(右下第一大臼歯)
初診:留学先での応急処置を経て受診
この患者さまは、以前から当院で診察を続けていた方でしたが、留学先で大きなむし歯ができ、現地で応急処置のみを受けた状態で帰国後に来院されました。
診断と治療計画

診察の結果、むし歯は深く進行し、X線写真上では歯髄(歯の神経)に達している可能性が高いことが分かりました。通常であれば「神経を抜く(抜髄)」処置を行うことが多いケースです。しかし、患者さまと相談のうえ、歯髄温存療法を選択し、できるだけ歯の神経を残す方向で治療を進めることになりました。
治療の流れ
初診(診断・治療計画の相談): 留学先での応急処置後の状態を確認し、治療方針を決定。
2回目(歯髄温存療法):
ラバーダム防湿を行い、むし歯を慎重に除去。
歯髄温存療法を実施し、神経を保護する処置を施す。

3回目(最終修復):
症状がないことを確認し、ダイレクトボンディング法により歯冠修復を実施。
治療完了。

合計3回の治療で歯を保存し、機能を回復させることができました。
治療後の経過
2025年1月、治療から5年経過した時点でのチェックを行いましたが、異常は見られず、良好な経過を維持していることが確認されました。
現在も定期メンテナンスを継続しており、今後も慎重に経過を追っていきます。
【むし歯が深くても「神経を抜かない」選択】
深いむし歯になると、従来は神経を抜くことが一般的でした。しかし、歯髄温存療法を適用できるケースでは、神経を残すことで歯の寿命を延ばせる可能性があります。
すべてのケースで適用できるわけではありませんが、「なるべく歯を残したい」とお考えの方は、一度ご相談ください。