神経を残すむし歯治療|歯髄温存療法&ダイレクトボンディング症例(30代女性・#14-15)
Before

After

年齢・性別 | 30代 女性 |
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治療方法 | 歯髄温存療法・ダイレクトボンディング |
治療回数・期間 | 1か月(全4回) |
費用 | 16万円(税別・当時) |
はじめに
数年ぶりに受診された30代女性の患者さんは、右上小臼歯(#14・#15)に歯の神経(歯髄)へ達するほどの深いむし歯が確認されました。
むし歯が深い場合、従来は歯髄を抜く「抜髄(ばつずい)」になることが多いのですが、当院では歯髄温存療法(歯髄をできる限り残す治療)とダイレクトボンディング(高強度の樹脂で直接かぶせる精密充填)を組み合わせて、歯を守る選択肢をご提案しています。
治療ステップ
1回目:#15 歯髄温存療法
局所麻酔後、ラバーダムを装着し無菌的環境を確保。古い詰め物と感染歯質をマイクロスコープで徹底除去しました。
予定通り歯髄が露出(露髄)したため、MTAセメントで覆髄し、さらにコンポジットレジンでコーティング・ビルドアップを行いました。
2回目:#14 歯髄温存療法
前回処置した#15に痛みがないことを確認し、同様の手順で#14も歯髄温存療法を実施しました。
3回目:#14 ダイレクトボンディング
両歯とも症状がないことを確認後、#14をハイブリッドレジンでダイレクトボンディング。細かく色調を重ね、天然歯の透明感を再現しました。
4回目:#15 ダイレクトボンディング
#15も同じ方法で修復し、全4回の治療を完了しました。
仕上がりと当院のこだわり
見た目は周囲の歯と調和し、どこに詰め物があるか分からない自然な仕上がりです。
成功の鍵は「感染歯質を残さず取り切る」ことと「唾液や血液を遮断した無菌的処置」にあります。当院ではマイクロスコープを活用し、患部を最大20倍に拡大して精密に処置しています。
治療後の経過
1年余り経過した現在も、X線画像で炎症所見はなく、患者さんは日常生活を快適に過ごされています。今後も定期メインテナンスで経過を観察していきます。
リスク・副作用
歯髄温存療法
- 処置後に一時的な疼痛・冷温水痛が出る場合があります。
- 経過観察中に歯髄炎が再発し、抜髄が必要になることがあります。
- MTAセメント特有の変色が起こることがあります。
ダイレクトボンディング
- 強い噛み合わせや外傷で欠けたり摩耗したりすることがあります。
- 経年的に色調がわずかに変化する場合があります。
- 大きな欠損や深い噛み合わせの場合は適応外になることがあります。
まとめ(院長より)
「歯の神経を残せるかどうか」は、歯の寿命を大きく左右します。
今回のような深いむし歯でも、最新材料と精密な手技を組み合わせれば、抜髄を避けられる可能性があります。
むし歯が進行していても諦めず、まずはお気軽にご相談ください。患者さん一人ひとりに合った最善の治療プランを一緒に考えましょう。
京都市中京区 四条烏丸 愛歯科医院 院長 金明善