スウェーデンの研究が教える、歯周病を止める“メンテナンス”の力

歯周病治療の“その後”に注目した、ある重要な研究

今日は「歯周病治療のその後」に焦点を当てた、世界的にも有名なスウェーデンの研究をご紹介します。

「治療が終わったら、もう大丈夫」――実はそこには誤解があります。
なぜなら、歯周病は“再発しやすい病気”だからです。

14年にわたる追跡研究。スウェーデン・イエテボリ大学の調査とは?

今回ご紹介するのは、スウェーデン・イエテボリ大学のヤン・リンデ教授らによる1984年に発表された歯周病研究についての学術論文です。

この研究では、重度の歯周病を治療した患者さんを、14年間にわたり定期的にメンテナンス(お口の管理)しながら経過を観察しました。

研究からわかった主なこと
  • 治療後も定期的に通っていた多くの患者さんは、歯周病が再発せず、歯も抜けずにすんだ
  • しかし一部の患者さんでは、長期間のうちに再発して歯を失ったケースもあった
  • つまり、再発する人・しない人の違いが出てくるということです

「平均値では見えないリスク」がある

この研究が面白いのは、平均的な数値では問題が見えなかった点です。

例えば、「14年間で歯周病が進行した人の“平均”はゼロに近い」という結果も出ています。

でも、実際には特定の人・特定の場所では再発し、歯が抜けてしまったという事実が隠れていました。

だからこそ、私たち歯科医師は「個別の変化」を注意深く追いかける必要があるのです。

治療の“ゴール”は、通い続けること?

この研究から分かる一番大きなことは、

歯周病治療は、“治療後”が本番。定期的なチェックとケアが欠かせない。

という点です。

言い換えれば、「歯ぐきの腫れがひいたから終わり」ではなく、むしろそこからがスタートなんですね。

愛歯科医院でも実践している「定期メンテナンス」

当院でも、スウェーデン式の定期的なメンテナンス(SPT:Supportive Periodontal Therapy)を大切にしています。

これは、以下のようなシンプルな内容です:

  • 歯石やプラーク(歯の汚れ)を専門的に取り除く
  • 歯ぐきの状態をチェックする
  • 患者さんの生活習慣をヒアリングし、アドバイスする

こうしたことを3〜6か月に一度のペースで行っていきます。

歯石除去

最後に:一緒に「歯を守る人生」を歩みましょう

歯周病は静かに進行する病気です。
「何も症状がないから大丈夫」と思っていると、気づかないうちに歯を失うこともあります。

でも、定期的なメンテナンスで、再発リスクを大幅に減らすことができるのです。

愛歯科医院では、あなたの歯ぐきと未来を守るためのお手伝いをしています。
ぜひお気軽にご相談ください。

京都市中京区 四条烏丸 愛歯科医院 院長 金明善