愛歯科医院では、歯髄温存療法やダイレクトボンディング、オールセラミック修復などの治療を行う際に、歯科治療用顕微鏡(マイクロスコープ)を2013年から活用しています。このページでは、顕微鏡歯科治療について解説します。

ライカ顕微鏡

顕微鏡とは?

顕微鏡

みなさんが「顕微鏡」と聞いて思い出すものの一つが、中学高校の理科で触れた顕微鏡ではないでしょうか。生物の微細な構造を、大きく拡大して観察する、そのような理科の実習を思い出す方もいらっしゃるでしょう。

人間の歯は、一つの大きさが1センチ内外という小さいものです。
歯の診断・治療の際には、さらに細かい部分について観察し、処置を行います。

通常、肉眼で行われる歯科治療においては、0.2〜0.3ミリの精度が求められます。
しかしより精密な診断と治療を追求しようとすると、肉眼で見える精度では限界が生じます。
質の高い歯科治療のためには、拡大視野が必須となります。

顕微鏡を導入すると何が変わる?

顕微鏡歯科治療

顕微鏡を歯科治療に導入することによって、肉眼では捉えきれなかった歯の微細な構造とその状態を把握できるようになります。

・今まで見えていなかったものが見えるようになる
→今まで分からなかったことがわかるようになる
→今までできなかったことができるようになる
→結果、肉眼治療ではできなかったことを可能にしてくれる

具体的には以下のような内容です。
・歯髄(いわゆる歯の神経)を直接観察し、歯髄温存療法が可能かどうか、判断の一助にできる
・隙間のない精密な詰め物、かぶせ物を作り出せる
・歯の内部にある、非常に細かい構造を把握して的確な処置を行える
・歯ぐきで覆われた部分に付着している歯石を、見つけ出して取り除ける

顕微鏡は万能なのか?魔法の道具なのか?

顕微鏡歯科治療によって、多くの歯が救えるようになりました。
では顕微鏡歯科治療はあらゆる歯を救えるようになるのか?と問われれば、決してそんなことはありません。

肉眼では見えなかったものが見えるようになることによって、むしろ「この歯は救えない」との診断が確定になったりもします。
「なんとかこの歯を残せないか」という切なる希望に対して、「残せない」という冷酷な現実を突きつける道具になるかもしれない、そんな側面ももっています。

歯根破折

拡大鏡と顕微鏡の違いは?

歯科治療に用いられる顕微鏡は、顕微鏡の中でも「双眼実体顕微鏡」と分類されるものになります。
この双眼実体顕微鏡というのは、両目で観察することによって立体的に対象物を観察できるという特徴を持っています。
その反面、拡大率はそれほど高くありません。

実際の顕微鏡歯科治療時に用いられる拡大倍率は、3倍から20倍程度です。
私が日常的に使うのは、5倍や8倍がメインです。

むし歯の治療中

これくらいの拡大倍率であれば、高価な顕微鏡を使わなくてもルーペ(拡大鏡)で対応できます。
しかし、顕微鏡と拡大鏡のいちばんの違いは、治療と同時に画像の記録を行えることです。
そしてその画像(静止画や動画)を、患者さんご本人にご覧に入れることができます。

通常であれば治療中の様子をご覧に入れることはできません。
顕微鏡を使って記録された歯のすがたを、患者さんと歯科医師、歯科衛生士との間で共有することで、治療への理解が深まります。
文字通り「百聞は一見にしかず」「一目瞭然」の歯科医療の世界が開けます。

愛歯科医院では、顕微鏡の近くに置いた43インチの4Kモニターや、相談室での27インチ4Kモニターに画像を表示させて、説明を行っております。

この項の終わりに

顕微鏡セミナーにて指導
顕微鏡導入セミナーにて指導中

顕微鏡歯科治療に取り組む歯科医師・歯科衛生士が集う会の一つに、日本顕微鏡歯科学会があります。学術大会には私もかかさず参加しています。
学会でのひとときに、親しくしている先生から聞いた次の一言が、私の記憶に強く残っています。

「顕微鏡を使っていると、使っていない先生たちとは話が合わなくなるよね。だって見えているものが全然違うんだもんね」

京都市中京区 愛歯科医院 院長 金明善

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