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2025.05.21

歯が割れる?ー歯根の垂直破折(VRF)

垂直破折(Vertical Root Fracture:VRF)とは?

垂直破折は、歯の根っこが縦にヒビが入り、最悪の場合まっ二つに割れてしまう状態です。ヒビが入ったまま放っておくと歯ぐきに炎症が起こり、膿がたまってきます。垂直破折が判明した場合は、ほとんどのケースで抜歯するしかありません。予防がとても大切です。

垂直破折はなぜ起こるの?

過去の根管治療(歯の神経の治療)で歯の中を大きく削っていると、歯が薄くなり割れやすくなります。
かみしめ・歯ぎしり・食いしばりで強い力が毎日かかると、ヒビが入るリスクが高まります。
事故や転倒などいきなり強い衝撃を受けたとき。
かぶせ物や土台の作り方が合っていない場合、力が一点に集中してしまうことがあります。

こんなサインに注意

– 噛んだときにピリッと痛む、または違和感がある。
– 歯ぐきが一か所だけ腫れたり、ニキビのような膿の出口(瘻孔)ができる。
– レントゲン写真で根の周りに黒い影があると言われた。
– 歯を触るとほんのわずかにグラグラする。

どうやって見つけるの?

1. 問診・視診―痛んだ時期や治療歴を確認し、ヒビが見えるか観察します。
2. 歯周ポケットの検査―ヒビがある所は歯ぐきが深く探りやすくなります(=特徴的な歯周ポケットを形成します)。
3. かむテスト―綿棒などをかんでもらい、痛みが出る場所を特定します。
4. レントゲンや三次元CT撮影(CBCT)―ヒビ自体は写りにくいので、周りの骨の状態を参考にします。
5. 染色テスト―青い色素を付けてヒビの線を浮かび上がらせる方法です。

歯根破折が起こってから長期間経過すると、X線写真だけでも確定診断ができることがあります。

裸眼では確認が難しい場合でも、マイクロスコープで観察することにより、破折の確定診断が可能になることがあります。

治療は?

残念ながら抜歯になることが多いです。歯を失った後、必要な場合はインプラントやブリッジ、入れ歯などを検討します。

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– ヒビが浅い場合は、接着剤でヒビをふさぐ治療を試すこともありますが、成功率は高くありません。
– 奥歯で根が複数ある場合は、割れた根だけを外して残りを生かす方法を選ぶこともありますが、長くもたないことが多いです。

予防とセルフケア

– 神経を取った歯やかぶせ物をした歯は弱くなっているため、歯ぎしりや食いしばりがある方は、**夜間マウスピース(ナイトガード)**で歯ぎしりの力を和らげることを検討します。
– 硬い氷やせんべいなどを強くかみ割る癖は控えましょう。
– 歯ぐきの腫れや違和感を感じたら、我慢せずにすぐ歯科を受診しましょう。
– 定期検診でレントゲンを撮り、トラブルを早期に発見することが歯を守る近道です。
歯の神経はできるだけ抜かないことが肝心です。

まとめ

垂直破折は、痛みがあまり出ないまま静かに進行するため気づきにくいトラブルです。「なんとなく噛みにくい」「歯ぐきが変」と感じたときこそ受診のタイミング。当院では三次元CTやマイクロスコープを含めた詳しい検査で診断ができるようにつとめています。少しでも異変を感じたらお気軽にご相談ください。

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